フィットネステクノロジー

2本の脚を左右交互に出し、カラダを前へと進める。
だらだら歩こうと、ビュンビュン走ろうと、この動作には変わりがない。

ところが、ものごとは異なる視点で捉えてみると、まるで違って見える。
力学的に言うと、歩くと走るのとでは決定的な違いがあるんです。

歩行という動作は、片足を地面に着地させ、体重を支えているときにやや重心が上がり、
重心が下がったときにその軸足が地面から離れます。
軸足を中心とした振り子のような運動です。

これに対して走るという動作は、軸足が地面に接しているとき、
カラダと地面との距離が最も短くなり重心もぐっと落ちる。
軸足が地面から離れるときには、その反動によって重心が上がる。
1歩ごとにバネが縮んで伸びるような動きです。

スプリントのように、接地する瞬間の力が大きければ大きいほど、
膝が曲がらないように脚の筋肉を猛烈に稼働させて、硬いバネを作る必要があります。
長距離を走るときは、接地の瞬間、それほど踏ん張らなくてもバネの動きを効率的に利用して
進めば事足ります。

では、次にエネルギー効率の点から、歩くと走るの違いを見てみましょう。
まず、時速5kmのお散歩感覚で歩いてみる。
とっても快適、心拍数もそれほど上がらず、疲れもほとんど感じない。
ところが時速6〜7kmにスピードアップすると、たちまち発揮されるエネルギーが跳ね上がる。
競歩レベルともなれば、走るより大きなエネルギーが必要になってくるほどだ。
歩くスピードを極端に遅くしても同様に、たちまち必要となるエネルギーは大きくなる。
歩くという動作は、快適に感じられる速度のレンジが実に狭いんです。




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